2011/05/26

研究成果の社会還元



研究成果の社会還元。 

長らく言われ続けている言葉ですが,きょう,この言葉を心の底から実感しました。 

職場で定期購読(本当に購入しているかは不明)している雑誌に,科学技術振興機構(JST)が発行している「産学官連携ジャーナル」というものがあります。送られてくるたびに職場で回覧しているのですが,今日に限って,何の気なしに手にとってみました。 

特集で「東日本大震災」における情報通信技術の活用を取り上げていました。その特集の一つが「ブロードバンド回線を緊急構築した研究者たち」というものでした。ここで紹介されているブロードバンド回線の中核を担っているのが,超高速インターネット衛星「きずな」(開発名:WINDS)です。この人工衛星は,情報通信研究機構(NICT)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)によって,2008年2月に打ち上げられました。 

前職では,この人工衛星を使って遠隔教育システムの実験に取り組んでいました。そんなこともあって,この特集はしっかり読んだのですが,やはり自分も関わっていた人工衛星だけに感じるものがありました。素直に言うと,「嬉しかった」かな。また,わたしの知人は現場に直接乗り込んでいたので,その苦労は想像に難くなく,重要な仕事に敬意を想起していました。 

WINDSの利用実験は多岐にわたっており,今回の大震災で現場展開の機会を得た災害支援実験から,わたしが携わっていた遠隔教育実験まで,さまざまな研究成果が得られています。そして,WINDSそのもの,それを打ち上げたロケットに関する技術研究・開発…数多の研究成果が,未曾有の危機に際して社会へと還元されたと思います。 

ただ,記事を読み終えて,うっすらとこみ上げてくるものがありました。自分の関わったことのある衛星の活躍が嬉しかったからなのか,その現場から離れていることへの寂しさからなのか…。それとも,研究を中断して,初めて実感した「研究成果の社会還元」に対する感情からなのか。総じて,WINDS実験が充実していたということなのでしょう(いろいろと気分の良いこと悪いことありましたけどね)。 

最後に,JSTの「産学官連携ジャーナル」は下記のアドレスで読むことができます。ぜひ一読下さい。 

■JST「産学官連携ジャーナル」 
 http://sangakukan.jp/journal/ 




研究費あれこれ(3)電子辞書を欲すれば



ちょっと時間が空いてしまいましたが、研究費あれこれの第3回目です。 

このところ事務所への怒鳴り込みがなかったので、静かに仕事ができていたのですが、先週は久しぶりにありました。用向きは「個人研究費で電子辞書を買えるようにしろ!」というものでした。 

うちに関しては、よくある話なのですが、他でもあるんでしょうか?常識的に考えて、電子辞書は研究費で買っていい物品なのではないかと。まぁ、諸悪の根源は、前回記事にした使途範囲表なんですけどね。例の表が買ってはいけない物に分類しているので、買えないわけです(笑)。 

しかし、電子書籍の購入がよくなりつつあるのに、電子辞書がダメなんて変な話です。Kindle+電子書籍(辞典)という構成で伝票が上がってきたらダメなんかな?その時の反応を楽しみに待つことにしましょうか。 

ところで、研究に辞書が必要なことは言うまでもないのですが、これから電子辞書を購入するってことは、現在は紙ベースの辞書を使っているということなのか?考えてみると、いろいろとツッコミどころがあるな…。 


2011/05/15

科研費補助金(研究活動スタート支援)公募終了

春科研(個人的な呼び方です)の申請が終了しました。とは言え、書類整理やら反省会やら残っていますけど。申請数は昨年に比べて微減でした。震災の影響は否定できませんが、準備期間が短かったことも手伝っていると思います。 

今回の申請を概観した所見では、最終的に採択水準と思われるところまで到達した研究計画調書は3割程度でした。なかなか厳しい数字です。個人的な目標は、支援案件の採択率が5割を超えることなので、もう少し手応えが欲しかったところです。JSTやら民間財団やら並行して支援していたので、科研費に十分なリソースを割り当てられなかったことが原因だと思います。仕事のやり方を見直さなければなりません。 

あと、研究活動スタート支援は、研究者に対するインストラクションが難しいな。若い研究者が多いので、なかなか手を焼いてしまう。素直に聞き入れる人もいれば、意固地になったり、生意気だったり、面倒な人も多いわけでして。業績は無いに等しいにも関わらず、態度だけは大教授とか。 

そういえば、今回も非常識な発言をする人が多かったなぁ…。研究経費明細について「なんでこんなに詳しく書かないといけないんですかぁ?」とか、「何を具体的な課題に設定すればいいんですかぁ?」とか!!どっちもダメダメですね。前者については、原資が税金だから適正な使用を実現するためにも詳細な予算計上を心掛ける必要があるわけです。後者については、研究者を辞めた方がいいのではないかと。 

あと、業務体制にも問題がありましたね。キャンパス間で連携がとれていなかったし、これに起因して重要な処理の実施時刻が連絡されていなかったので、危うく申請事故を起しかけました。他大学ではどうやってキャンパス間の連携をとっているんでしょうか。 

今回も課題山積です。秋科研に向けて一つずつ解決していかなければ。

2011/05/11

科学技術振興機構「研究成果最適展開支援プログラム」公募終了

本日12:00に研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)の公募が締め切られました。今年からコーディネータ見解を書くスペースが大きくなったので,それなりに苦労しました。見解書は4件を担当しましたが,医療,電子,生物,機械と,まったくの別分野ばかりだったこともあって,学術調査と産業調査にかなりの時間を費やしました。ただ,それなりに勉強になったので充実感はありました。 

この競争的研究資金は,その名が示すとおり,大学などの研究機関で生まれた研究成果について,産業界への技術移転を通じて,広く社会に還元しようという趣旨のものです。そのため,研究成果の発展段階に応じて審査区分が設定されています。ただ,研究成果がどの段階にあるか判断することが難しいので,コーディネータの目利きや見解・評価が重要になってくるわけです。 

さて,今週はまだ科学研究費補助金(研究活動スタート支援)の締切があるので,休んでいる暇もないです(日記を書く暇くらいはある)。

2011/05/05

科研費補助金(研究活動スタート支援)絶賛支援中

世間は連休ですが,大学では授業日数確保のため仕事をしています。現在,研究活動スタート支援の調書作成支援が佳境を迎えています。一昨日は,60分/回の面談を30分間隔で6人こなしました。夕方には声も枯れます。 

昨年度は文系を支援していましたが,今年度は理系を支援しています。昨年度と比較すると意外にやりやすいです。なんというか,わたしは数学やら物理の用語で例示をすることが多いのですが,さすがに理系キャンパス,数物系は言わずもがな生物系の研究者でもスンナリわかってくれます。この辺が文系と比べてやりやすい部分でしょうか。その他に、調書がもとから理系向きにできているという点もあります。 

あと,理系キャンパスの外部資金業務を統括する立場になって,仕事にある程度の裁量がきくようになったことも大きいと思います。無能で口やかましい上司がいない環境は素晴らしい! 

連休も休みなく働くわけですが,科研費以外にも科学技術振興機構系の申請書や,経済産業省の採択事業を受け入れる手続きなど,パラレルに進んでいる仕事があります。3~5月は,9~11月と同じくらい忙しいです。年中繁忙期とも言われていますけどね(笑)。

2011/05/03

平成23年度科学研究費補助金の審査結果



平成23年度科学研究費補助金の審査結果が公開されました。申請を支援したプロジェクトの採否状況は下記のとおり。 

基盤A 0/1 ( 0%) 
基盤B 4/8 (50%) 
基盤C 4/8 (50%) 
若手A 担当案件なし 
若手B 2/8 (25%) 
萌 芽 0/2 ( 0%) 

※上記は「種目 採択数/申請支援数  (支援採択率)」となっています。 

基盤系が善戦したものの,若手・萌芽が足を引っ張った感じです。文部科学省は若手系の支援採択率を30%まで引き上げると言っていたので,もし全体としてその水準なら苦戦した格好です。来年度に向けての課題は,「若手系の支援採択率をいかに引き上げるか?」ですね。


審査結果を見るときに見落としがちなので,採択プロジェクトの充足率について少しだけ書いておきます。この充足率は, 研究経費積算の適正度を計っている側面もありますが,研究内容の重要度も表しています。つまり,重要度が高いと判断されたプロジェクトは充足率も高くなるということです。例年,基盤系の充足率が70%程度であることを考えると,充足率が80%を超えるようなプロジェクトは重要度が高いと判断されていることになります。今回の採択プロジェクトでは,充足率80%以上の案件が3件あったので,支援採択率以上に満足しています。

さて,好調だった基盤系ですが,そのうち2件ほどは,わたしがほぼ全面的に書き直した調書がありました。喜んでいいのやら,悲しんでいいのやら,何とも複雑な心境です。それは,ともかく自分の年俸分以上に補助金を引っ張ってこれたのでよかったのではないかと。